親になって、似てきたかな



【成人した養子へのインタビューシリーズ】

養子縁組家庭で育った女性
あやこさんからのお話


あやこさん(仮名)は生後7か月の時に里親宅に迎えられ、養子縁組をしました。
その後、弟も養子として迎えられ4人暮らしに。

こどもの時に阪神大震災を経験し、あやこさんが成人する前に養父が亡くなられました。

そんなあやこさんも3年前に結婚し、出産。
現在は養母と同居し、子育てに忙しい毎日を送っています。


里親仲間の友だちはきょうだいみたい

聞き手
子育てを始めてもうすぐ1年、どうですか、子育ては?

あやこ
思ったより赤ちゃんって動くのだなと思った。毎日バタバタであっという間に1日すぎる、1年すぎるみたいな感じ。お腹にいた時から、すごい動いていた。めっちゃ痛くて、眠れない日があったから、出てきたらどうなるんやろうと思ったら、ほんまにそんな感じやった。

今は、午前中は毎日児童館に行ったりして、疲れさせて昼からは寝かせる。

夫は、毎日お風呂は入れてくれるし、食器片付けてくれたり、洗い物をしてくれたり、料理も休みの日は作ってくれるんで、イクメンを豪語してるだけはあります。

聞き手
お母さんと同居してると安心でしょ。お母さんは保健師という職業だから。

あやこ
困った時は安心かな。助かります。

聞き手
心配事があんまりないもんね。

あやこ
職場では、周りはみんな医療従事者だしなんとかなると安心しています。行きつけの小児科もあるし、夫の友達も小児科の先生だったり、いろんな部門の先生がいる。母親が専門っていうのもあるし、まわりにくわしい人がいるし、ママ友さんとかも児童館に行くとけっこうたくさんできるから、それでいろんな情報交換ができてまた安心できる。

聞き手
例えばどんな情報をもらったら安心?

あやこ
離乳食の進め方とか、あと「急に歯ぎしりするんやけど、どうしよう?」って他のママ友さんに言ったら、「うちもしたよ」とか、ネットで調べても出てくるけど、生の声が一番安心する。「うちもした」「よくするらしいよ」みたいな、ママ友さんの経験を聞けるのがいい。

聞き手
セーフティネットを持ってるのと持ってないのとは違う。一般的なママ友って里親さんは当初持ちにくい人もいる。「妊娠中はどうやった?」とか言われたらひいてしまうこともある。

あやこ
うちの母親は、里親同士で家族ぐるみで仲良かったから。旅行に行ったり、ご飯に行ったり、いろんなことしてたから、こどもたちも仲良くなるっていうのがすごいよかった。今でも子ども同士けっこうがつきあいがあります。

聞き手
里親家庭のこどもたちとの付き合いは「まるできょうだい」っていう会話になるとか言うてたけど、それは、自分の友達とか、職場でできたお友達とかとはまたどこか違う感じがする?

あやこ
違う。それぞれいろんなとこに友達がいて、それぞれやけど、里親は家族ぐるみの付き合いやから、より近い感じ。

聞き手
小さい時からずっと、継続していっしょ。それが全部じゃないけど、人生の中の一部やから、そこはそこで良い関係になるってことかな。

あやこ
だからいろんなジャンルに友達がいるって感じで、それはそれで楽しい。そういう幼なじみもいるし、近所の幼なじみもいるし、小学校、中学校、高校ってバラバラやし、社会人の友達もいる、っていうのがけっこういいかな。おとなになってそれで集まっても、また楽しい。

聞き手
違うものってある?学校や近隣の友達と、里親仲間の友達とでは?

あやこ
そんなにないかもしれない。小さい時は、親に「血がつながってないよ」って言われて、「ああ、そうなんや」みたいな感じじゃないですか。私の場合は、でも、あの子もあの子もあの子もそうやし、っていうのがあると、「それで普通なんやな」みたいな感じになる。