子どもから教えてもらった


【子どもたちと出会ったからこそ、経験できたことがたくさんある】

養育里親
F夫妻からのお話

手探りではじめた交流

Fさん(夫)

短期の里親をしております。

施設を経ず、家庭から来た子どもの話です。

姉と弟が3ヵ月来て、家庭に帰りました。
今年の夏から小学校低学年の女の子が来ています。

どちらもひとり親家庭の子どもさんです。

姉弟のお父さんが通勤途中にバイク事故にあい、骨折をされ、そのまま病院に搬送されてしまい、子どもだけ取り残されてしまった状況だったそうです。
しばらくは、近所の方がかいがいしくお世話してくださったようです。

親族の方は遠方で疎遠ですので、長期に手助けしてもらえることはなく、監護者がいないということで、児童相談所の判断で一時保護ということになりました。

そうなると地域から離れることになり、通っている学校に行けなくなります。

知らない町で知らない子どもと集団生活をするのはかわいそうだということで、「短期間ですけどお父さんが元気になるまで面倒を見ていただけませんか」ということで我が家にやってきました。

小学校高学年の女の子と低学年の男の子です。

下の子に「ちょっと太っているから痩せんとあかんよ」と言いましたら、「おじさんもお腹でてるやん」と言われました。

お母さんが小さいときに亡くなっているので、母子手帳に書いてある記録が途中でプツっと切れていて、なんともいえない気持ちになりました。

最初の子どもでしたので、私たちも手探りで始めました。

安全な生活をするため、みなでルールを決めて、いろんな規則正しい生活をしようと相談したりしました。

信頼関係を築くのは、時間が経たないと仕方がないと思っておりました。

下の子は男ですので、お父さんがいるということで、私にはなつかなくて、自分のお父さんと対比していました。

そのうち、2月の寒い日にインフルエンザに罹って熱を出して、私が世話をしたらこちらの心情が伝わったみたいで、信頼関係ができたような気がしました。

結局、彼はインフルエンザの検査を2回して陰性でしたが、その間に私が熱を出して、私がインフルエンザで隔離をされることになりました。(笑)

一ヵ月もすると、子どもも馴れてきて、感情失禁事件というのが起こります。

姉がしっかりしないといけないと思うのでしょうね。

私が2階にいると下から、「こんな宿題わからーん!」と大声で泣いている声が聞こえました。

下に降りていくと、妻が弟の宿題を見ていて、「自分はかまってもらえない」という気持ちが一ヶ月溜まってきて泣いていたので、私が対応すると落ち着いて宿題をするようになりました。

そんなこともあって、2日後の3月の5日には、放尿事件というのが起こりました。

お姉ちゃんがトイレに入っていて、自分に譲ってくれなかったということで、今度は弟が、洗面所におしっこしてしまいました。

結局自分で掃除をして、「ごめんなさい」と謝ってくれました。

下の子は、自分の言葉でうまく表現することがなかなかできないんです。
キーッと金切り声をあげて、姉を叩くという姿がよく見られました。

お姉ちゃんも我慢をしてそれを受け止めて、時には姉も泣いてしまう。

家に帰るときには金切り声をあげることはなくなっていったように思います。

手探りでやりながら、我が家に3ヶ月いて、家に帰っていきました。
帰る時は2人とも号泣していました。それはうれしかったなと思います。