海外で和食の店を開くのが私の夢


【成人した養子へのインタビューシリーズ】

養子縁組家庭で育った女性
まりさんからのお話


まりさん(仮名)は2歳の時から、養親家庭で育ちました。
現在22歳。

25才の同じ養子の兄と養親の4人で暮らしてきました。

自分の性格を強みに

聞き手
この4月に大学を卒業したのよね。

まり
国際コミュニケーション学科を卒業しました。でも大学では音楽ばっかりしていた。

聞き手
子ども時代のことを聞きたいんだけど。いつ頃ぐらいの年齢のときのことを憶えてる?

まり
3歳ぐらいからちらほらあります。

忘れ物がとにかく多かった(笑)。

困るけど、ちょっと経ったら「ま、いっか!」みたいなタイプだったので、めっちゃ怒られました。

失くしものとか忘れ物とか多くて、雑だったのでね。
今でもだけど。

お母さんにめっちゃ怒られてましたね。怒られたときは反省する。

本当に反省するんだけど、また繰り返してしまう。

聞き手
大人になってそこはどうカバーしているの?

まり
だいぶましにはなってきたけど、「何とかなるかな」という精神はそのまま。

聞き手
自分ではそういう性格はどう評価している?

まり
うーん。
どうしようと迷って何もできなくなるタイプよりは気持ちを切り替えられる方がうまくいけるなと思います。

聞き手
自分の強みになっていると思えるようになったんやね。ほかの強みは?

まり
他人とすごく仲良くなれるタイプかな。

でも、八方美人と言われたりすることもある。

大学の時は、「まりは優しいけど、みんなに『いいよいいよ』っていうから何を考えているかわからへん」と言われたことはある。

でも、敵は作らない方がいいので。それも強みの一部かなと思っている。

聞き手
自分のよくないところはある?

まり
紙一重というか、忘れっぽいところもそうなんだけど、誰に対しても優しく接してしまう。

イエス、ノーを曖昧にしてしまう。
そういうことで困ったことはある。

聞き手
「ノー」を言えないの?

まり
大学の4年間でだいぶ友達に説教をされて「ノー」と言えるようになりました。

自分があまり気が乗らないときは、はっきり断る。

仲良い友達に「自分の意志を持って!」と言われて、意識するようになって変えていきました。

仲良い友達には自分が思っていることをはっきり言わないと、相手が逆に傷つくこともあるということを学んだので、素直に思ったことを言うようにしている。

聞き手
それで何か変わった?

まり
楽になりました。前までは人の顔色ばっかりうかがってた。

家ではべちゃくちゃしゃべっていたけど、交友関係に気を遣っていた。
自分が相手からどういう風にみえるか、映るか気にしていてしんどくなっていた。

それで、小、中学生のころは悩んだこともあった。

聞き手
どうしてかな?

まり
繊細な子でしたね。明るいけど、内面では考えることが多かった。

他人に合わせたり、悪く思われたくないという気持ちが今までは強かった。

「相手が離れていったらどうしよう」という不安のようなものがあった。

小学校、中学校の思春期とか大変な時期じゃないですか。

女の子って陰で悪口言ったり、複雑なんですよ。
小規模の学校での居場所をつくるっていうのが、一番しんどかったですね。

聞き手
そんなときは誰に助けを求めたの?

まり
家族ですね。自分の気持ちをモロにぶちまけていたかな。中学校の時とか。

聞き手 
それでヒントがもらえた?自分の気持ちがスッキリした?

まり
スッキリですね。

お母さんに対しては、なんでも話せるんですよ。

隠し事がないというわけではないけれど、母親というより親友みたいなところがすごくあって。
なんでも話せた。

聞き手
お母さん若いしね。雰囲気が。

まり
そう。気持ちが若いというか、前向きなんです。

楽観的。自分のことを理解してくれているのは母親だと思う。

聞き手
「わかってもらえないのが親」というところもあるけど。

まり
もちろんそういうところもあるけど、私のことはわかってくれている。

聞き手
前にお母さんが言っていたけど、あなたが他人から養子であることを言われた時、お兄ちゃんが相手に「養子で何が悪いねんって言ってやればいい」ってあなたに言ったんでしょ。

まり
それが全然覚えていなくて、そんなこと言われたかもしれない(笑)。

小、中学生の頃は自分の存在について考えることが多かったですね。
「なんでこういう環境なんだろう」「自分は他の人とどうして違うんだろう」って。

聞き手
それは自分が生まれた家で大きくなっていないということ?

まり
そう。それを小、中学生の頃は気にしていた。

聞き手
そのことはどう思っていた?

まり
精神的に不安定になったときは音楽など好きなことしていた。

聞き手
それは何か解決する道があるというか、どうにかするというより養子ということを受け入れないといけないことと思っていた?

まり
そうですね。

聞き手
自分の気持ちは他のことで癒やされると思っていたの?

まり
自分の今の環境で良かったと思うので、両方かな。
母親にすぐ話せるので、ぼんぼん話していますね。

「(実親は)どういう人やったんやろう」みたいな話を普通にしてた。

家庭科の授業か何かで、「生まれたときの写真を持ってくるように」と言われたり、「最初に話した言葉とかを出しましょう」という授業のときに、普通に「どうするー?」って母親に話していました。